世界一周なんて、人生で何回もするもんじゃない。
そう思って初めて一周したのが6年前、気づけば4周もさせていただきました。
それも、1000人と一緒に。
笑顔や涙、いろんな表情を見せる船旅に、僕はいつも魅了されまくっています。
4周目となるピースボート第101回クルーズでは、2019年4月から8月までの19カ国21寄港地を訪問しました。
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ヨーロッパの鮮やかな街並みも、南半球の自然の力強さも、たくさんの見所がある航路。
クルーズディレクターとして乗船した旅を、5つの出来事に絞って振り返ります。
①6年越しのエジプト
6年前、初めての世界一周の時に叶わなかったエジプト訪問。
しかも寄港する5日ぐらい前に、情勢不安が理由で急遽変更。
ピースボート自体も、それ以来6年ぶりの寄港でした。
旅好きな方なら、1度は行きたいところでしょう。
一番期待していたのは、ベタだけどピラミッド。
港から街の見所までが近いのが魅力の船旅には珍しく、エジプトの港湾都市のポートサイドからカイロまではバスで4時間越え。
念願のピラミッドに、もちろん胸は高鳴り。
見えた瞬間の興奮は今でも忘れない。
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カイロの街を走っていると、突如として現れるピラミッド!
とは言うけれど、それは本当でした。
そして、ピラミッドの石の1つ1つがとにかく大きいんです。
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こんなに大きな石を、4500年以上前に人の手で積み上げたってのがすごいよね。
本当に石と石の間に、隙間がないんですよ。
三大ピラミッドが一度に見れる眺めは、また格別。
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というわけで、念願のエジプトを堪能しました。エジプト帰港が忘れられないのはそれだけではないんです。
この方に会ったからです。
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エジプト考古学者の河江肖剰さん
世界ふしぎ発見!に何度も出演されていて、超忙しい方。
実は、僕が水先案内人にお誘いした、初めての人なんです。
今回の101回クルーズの目玉の一つが、6年ぶりのエジプトということもあり。
エジプトに関連する水先案内人を探していたところ、河江さんを見てこの人だ!と思ってアタックしたところ、ご乗船いただくことになりました。
船内の講座は、一番広いホールに入りきらないほどの大人気ぶり。
そして夜には、僕との対談企画までさせていただきました。
また、ご乗船いただきたい。
これが1つ目。
②ピースボート史上初・皆既日食観測
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いや〜この感動は忘れられませんよね。
太陽の脅威を、肌で感じた瞬間でした。
通常の部分日食とは違い、太陽が月に完全に隠れることを皆既日食と言います。
今回の皆既日食は、約4分間!
ピースボート至上初めての皆既日食体験ということもあり、出発前から船上で見られるようにかなりの準備時間を費やしました(笑)。
なんと皆既日食時間4分間ですよ。
通常のフィヨルド遊覧やオーロラ観測と違う点が2つあるんです。
①4分間なので、乗船者全員が同じタイミングでデッキに出る
②望遠鏡などで太陽を見るひとがいると失明の可能性がある
という点です。
①全員が同じタイミングでデッキに出る
フィヨルドや南極などの遊覧は約半日近く見所があるため、船上では人の行き来があります。ずっとデッキに出ている人はあまりいません。
そしてオーロラの場合は、いつ出るかわかりません。また深夜ということもあり船室で寝て休んでいるかたも多いです。たまに出遅れるひともいたり・・・
それと違い、皆既日食は、
2019年7月2日10時40分からの4分間と決まった時間に発生するわけです。
日中なので乗船者1000名が活動している時間です。皆既日食の時間は1000名ほぼ全員がデッキに出るわけです。
実は、1000人が同時に船のデッキに出ること自体初めてだったのです。
なので、どのスペースに何人が入るか、何度も計算したのです。
②失明の可能性が有る
普段太陽を直接見ないようにしているのは、目が傷つくからですよね。
太陽は、肉眼で見るものではないんです。
皆既日食を撮影しようと、何のフィルターもつけずに双眼鏡を覗くと、失明してしまうのです。
そんなことを1000人中たった1人でもしたら、大変なことになってしまいますよね・・・
という2点について、皆既日食の専門家の方と打ち合わせを繰り返しました。
混雑してもいいように、有料の三脚スペースを設け
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直接太陽を見ないように、参加者全員に日食メガネを配布
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日食メガネをかけると、全く見えない!
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という万全の体制で挑みます。
だがしかし、どうにもできないことがありました。
それは
天気
こればかりは、準備のしようがない。
しかも、冬の南太平洋ということもあり、観測予定日の数日前は雨。。。
ドキドキで皆既日食観測日を迎えたのです。
皆既日食日当日に朝、外を見てみると・・・・
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晴れ!
朝起きて、まず一安心。
クルーズディレクター(船の担当)の業務の1つに、天気があると言われています。
なので、寄港地や、天候に左右されるイベントが近づくといろんな人にお願いされるんです。
そして観測時刻の10時40分が近づくにつれて雲ひとつない空に。
あと少し、そのまま!そのまま!
皆既日食はわず4分間その前後2時間程度が部分日食になります。
皆既日食予定時間の直前・・・
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まさかの分厚い雲の出現です。。。。
頼む頼む頼む!
これほど神に祈ったことはありませんでした。
とその瞬間!
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太陽と月が重なるコロナの出現!
この瞬間に、これまでのドキドキと疲れが吹っ飛びました。
そして何より、昼間なのに辺りが暗くなったこと、寒くなったことが驚きで、太陽がいかに偉大なのかを見せつけられた気分でした。
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心配していたケガなどもなく、無事に1000人が観測を終えることができました。
ご協力いただいた1000名の皆様に、感謝です。
皆既日食観測の映像を見たい方はこちらから
1000人が日食グラスをかけて、同じ方向を見ているのは、結構面白いですよ。笑
③初開催!ピースボートよさこいプロジェクト
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ピースボートにはいろんなプロジェクトがありますが、僕が初めてスタートから関わらせてもらったプロジェクトです。
僕もあまりよさこいのことを知らなかったのですが、近年人気が高まっています。
高知のよさこい【ほにや】
とピースボートが共同でよさこいプロジェクトを立ち上げました。
このほにやというチームがすごいんです。
人気もさることながら、高知のよさこい祭りでは、最多となる9回もの大賞を受賞しています。
さらにはよさこいほにやさんをモデルにした映画
君が踊る夏
には、主演の溝端淳平、藤原竜也、高島礼子などなど、有名な俳優がたくさん出ています。
他にも、一青窈のPVに出ていたり、ファンクラブには南海キャンディーズの山ちゃんがいたりと、よさこいを広める活動を続けているチームです。
そんなチームから講師を一人派遣していただき、ピースボート101回クルーズの船上で練習したり訪れる国々で披露する。
というプロジェクトです。
船上でのプロジェクトの名前は『ピースボートよさこい・ほにや丸』
年齢や国籍、出身地域も問わず、有料企画で行われました。
どれだけのひとがよさこいに興味をもってくれて応募してくれるのか心配したのですが、受付開始1時間半で定員になるほどの人気。結果的に10名枠を増やして催行しました。
よさこい未経験はもちろん、そもそもダンス未経験者も多数参加していただきました。
寄港地では
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ギザの三大ピラミッドの見える会場で披露。
※おそらく世界初なのではないか?
ニューヨークでは、ピースボート初となる、船上での国連公式イベントで演舞。
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他にも、中南米のコロンビアやパナマ、オセアニアのフィジー、オーストラリアでも披露しました。
フィジーとオーストラリアでは現地の新聞に取り上げられ。
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どの寄港地でも予想を上回るリアクションをもらいました。
こうして年齢も国籍もごちゃまぜの初プロジェクトは、大成功に終わったわけです。
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そして、このよさこいプロジェクトには続きがあるんです。
ピースボートよさこい・ほにや丸は、世界一周帰国後に東京の原宿で開催されたよさこい祭りに出場したのです。原宿のよさこい祭りには全国のチームが集まって盛り上がっていました。
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2日間で約90万人が観に来る原宿表参道元氣祭りスーパーよさこい
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1ステージ数百人が観る演舞を2日間で8回披露するわけです。
演舞前の緊張感と、終わった瞬間の大きな拍手は、鳥肌が立ちます。
年に1度はピースボートの洋上でよさこいプロジェクトを行い。
この原宿のよさこい大会出演していく。
クルーズ関係なく集合し、よさこいプロジェクトを重ねる度に仲間が増えていく。
今まであまりなかった、クルーズの垣根を超えたプロジェクトとして成長していく。
それがこのプロジェクトの最大の見所だと思います。
これからのピースボートほにや丸にも注目してください!
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これが3つ目です。
5つ書くの、結構長いな・・・・
続いて!
④世界一周は、世界情勢の渦中にある
今回は、この言葉を痛感させられるクルーズとなりました。
なんと、2回も寄港地が変わりました。
最初はスリランカ。
記憶に新しいであろう、連続自爆テロが起きたのです。
しかも横浜出航の直後に。
その報告を受けた時、これからこのクルーズはどうなるんだろう・・・・
とドキドキしたのを今でも覚えています。
急遽寄港したのがマレーシアのペナン島でした。
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そしてもうひとつがキューバ。
これは、アメリカによるキューバへの経済制裁の強化によるものでした。
ご存知の方も多いと思いますが、アメリカは2019年6月4日に教育目的の団体渡航をも禁止しました。
我々がキューバを訪れる約1週間前の話です。
急遽寄港をジャマイカに変更することになりました。
キューバ渡航の禁止になるのがあと1週間遅かったらなと、正直思いましたが、だからこそ世界情勢が他人事ではなく、自分事に感じたのです。
まさに、平和が旅を可能にしている。
やはり、旅はするのではなく、させてもらってる。
そう感じた瞬間でした。
さて、最後の1つは帰国後のことです。
そして、つい最近の出来事です。
⑤参加者からもらった言葉
普段からよく、スタッフ間で話すことがあります。
なんで船を出しているのだろう?
ただ観光するだけではなく、新しい気づきや、この旅でしかできない経験をして欲しい。
船を出すことが、世界の平和に近づく。
そう思って1つ1つの船を出し続けています。
4日前に、101回クルーズに乗船していた20代前半女性と話す機会がありました。
「世界一周する前と、帰ってきてからで変わったことは何ですか?」
という問いに対して、その女性はこう答えたのです。
「行く前は外国に暮らす人のことをなんとなく怖いと思っていたけど、今はそう思わなくなった」
僕はその言葉を聞いた時に、稲妻が走りました。
正直、どれだけの人がそう感じてくれたかわからないし、それがどう平和に繋がるかわかりませんが、大きな一歩があったと思います。
家でニュースやネットを見ているだけでは感じないであろう、いろんな国と地域から集まった老若男女のみなさんと100日間過ごし、世界を回ったからこその気づきだと思います。
これからも1人でも多くの方に、地球で遊び、地球に学びながら、これからの明るい未来に目を向けてもらえるような船を出したいと思う5つの出来事でした。
また、旅に出ます!
前置きが長くなりましたが、来年8月に5周目の旅に出ることに決めました。
次は、ピースボート初となる2隻同時運行という大きなステップです。
これまでのオーシャンドリーム号に加え、ゼニス号が仲間入りします。
僕はそのゼニス号で、新しいピースボートを作っていきたいと思います。
これからも、皆さまのご協力をいただきながら、より良い世界になるよう微力ながら励んでまいります。
今後とも、よろしくお願いいたします。